永遠のイマジン

2022.12.23

これまでの人生のなかで、自分の歳に愕然となったことが何度かある。
 
初めてそれを感じたのは、高校球児がいつの間にか自分よりも歳下になってしまっていた時で、その次は、大相撲の横綱が歳下なんだと気づいた時……。最近では、アイドルの父親が自分より若いのだと知らされても、もう驚きもしない。
 
いちばん感慨深かったのは、ジョン・レノンの年齢を自分が越えてしまった時だった。ジョンがこの世を去ったのは1980年12月8日、享年40歳だった。
 
今年(2022年)も12月8日には、ラジオから“歳下”のジョンが歌う「IMAGINE」が流れていた。だけどニュースでは、広がる戦火を伝えている。僕らは何かを変えられたのだろうか?
 
残念なことに毎日、身の回りでさまざまな事故が起こる。そうした事故のいくつかには、ほんの少しの想像力があれば未然に防げたのではないか、と思われるものがある。
 
そんなことをしたら、どうなるか。こんなことを言ったら、どう思われるか。
 
想像力を働かせる前に行動を起こしたり発言したりするから、文字どおり想像していなかった結果が生じて事故や事件となり、誰かの、あるいは自分自身の体や心を傷つけてしまうことになる。
 
想像力とは、つまり思いやりであり、だから愛なのだと、ジョンは歌ったのではなかったか。

クルマを動かすのはENGINEだけど、大切なのはそれを運転する人のIMAGINEなのかもしれませんね。走行力と想像力……。
 
想像力を発揮すれば、おのずと運転は「~だろう」から「~かもしれない」となるわけで事故の件数は減少するに違いない。みんなが相手を思いやって運転すれば、もっと気持ちのいいドライブにもなるだろう。
 
Imagine all the drivers~♪と歌えば、ジョンに笑われるかもしれないけど、改めて想像してみよう。
 
スピードを出し過ぎたら、どうなるのか……
 
信号を守らなかったら、どうなるのか……
 
すり減ったタイヤで走行したら、どうなるのか……
 
事故を起こしてしまったら、悲しむ誰かがいるということ……。
 
そして、想像するチカラは事故を防ぐだけでなく、カーライフをもっと豊かに楽しくもしてくれる。
 
どんなクルマを選ぼうかとあれこれ悩んだり、どこへ行こうか、どの道を走ろうかと考えてみたり…… 想像することから、お楽しみは始まるのである。
 
たとえクルマのEV化が進んでENGINEがこの世からなくなったとしても、人がそれを走らせるかぎり、楽しもうとするかぎりIMAGINEは永遠なのだ。発表から半世紀が過ぎても、あの歌が唄い継がれているように。
 
クルマをクルマたらしめるもの、そしてクルマならではの楽しみをもたらすもの、それは僕ら一人ひとりのIMAGINE。たとえアイドルが孫の歳になってもね。
 
想像してごらんよ。クルマの楽しみ方なら、いくらでもある。
 
そんなHIMAGINEじゃない、なんて言わないで。


この記事を書いたライター

夢野忠則

自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。

現在の愛車は手に入れたばかりのジムニーシエラと、トライアンフ・ボンネビルT120、ベスパET3 125。

   

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