あいかわらず、クルマで走り回っている。
先日は、東京から富山まで日帰りの弾丸ドライブ。8月に熊本の実家までクルマで帰った時から、まだ1ヶ月しか経っていないのに、もう空の雲に、夜の風に秋の気配が漂っている。
ドライブは、季節の移ろいと共に走る旅でもある。
真夜中のパーキングエリアにクルマを駐めて、ベンチでコーヒーを飲んでいると、なんだか夏が過ぎ去った浜辺に座っているような気分になってくる。昼間の喧噪が消えた高速道路のその場所は、誰もいなくなった海辺のように静かにそこに広がっている。
真夜中のパーキングエリアでは、誰もが物語の主人公になれる。秋の海がそうであるように、他に登場人物はいないから。僕がソロドライブを好きなのには、そんな理由もある。
家族や仲間たちと一緒に楽しく移動できるのがクルマ旅の魅力ではあるけれど、一人きりの時空間に身を浸すことができるのもまた、クルマ旅ならでは。
一人になりたい時、僕はクルマで走り出す。ドライバーズシートに座ってドアを閉めた瞬間から、誰にも邪魔されない自分だけの物語が始まる。
一人で走りながら、いろんなことを考える。昔のこと、今のこと、これからのこと。家族のこと、自分のこと、誰かのこと。仕事のこと、遊びのこと、時には人生について。
夢だったり、後悔だったり。喜んではハンドルを叩き、悲しんではそこに顔を埋め…。
一人になりたくてクルマで走り出す時、それは自分自身を日常から解き放つ時。運転することで、ドライバーは日々の暮らしの中のリミッターを、人知れず外すことができるのだ。

とはいえ、話し相手がいないソロドライブには難点もある。睡魔である。いくら人生について深く考えながらも、いや、考えるほどに、まぶたは重たくなってくる。さて、そんな時はどうしましょう?
ドライバーを対象に実施された、とあるアンケート調査によると、運転中の眠気対策として多かった主な回答は以下のとおり…
・窓を全開にする
・なにか飲む
・なにか食べる
・ガムを噛む
・歌いまくる
・体をつつく
・ホッペをつねる、たたく
・クルマから降りて体を動かす などなど…
僕の場合は「大声で昭和歌謡を歌いまくる」かな。なんたってステージの主役は自分なのだから。無観客だけど。
専門家によると、眠気対策にいちばん有効なのは「クルマを駐車して眠ること」らしいです。そりゃ、そうだ。いつでも駐車して眠れる自由も、一人だからこそ。
ソロドライブは、秋がいい。
夏は急かされるし、冬は寂しすぎる。春は、やっぱり二人のほうがいいでしょう?
秋の夜長に、くれぐれも「いねむり運転」には気をつけて。
この記事を書いたライター

自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、
現在の愛車は手に入れたばかりのジムニーシエラと、