その名も“長湯専用風呂”!? 伊豆・畑毛温泉の「ぬる湯」が夏に最適だった。

旅先に温泉はつきものです。その地で昔から親しまれ続けた名湯に時間を忘れて漂う瞬間ーー。これ以上贅沢な休日の過ごし方があるでしょうか。そんな“最高の休日”に新たな1ページを提案すべく、今回は伊豆のとある秘湯をご紹介します。
思その名も畑毛温泉(はたけおんせん)。例年より一足早くやってきた今年の夏、温泉パワーを補給して乗り越えましょう。
2018.07.12

有数の温泉地に挟まれた不動の名湯

静岡県の伊豆半島の根元に位置する畑毛温泉(はたけおんせん)は、知る人ぞ知る歴史ある湯治場です。その歴史400年以上、国民保養温泉にも指定されている国内でも有数の泉質が特徴です。
……なんて聞いても、泉質なんて詳しくないからわからない! という人も大丈夫。浴槽に一歩踏み込めば、一般的な温泉の概念が覆されること違いありません。実はこの畑毛温泉はなんといってもぬる湯が有名なのです。今回はその醍醐味を存分に味わうことのできる「畑毛温泉 富士見館」へお邪魔してきました。

畑毛温泉 富士見館でプチ湯治体験!

筆者が訪問したのは6月下旬の晴れ間、すぐそこまで夏が来ていることを予期させる夏日でした。明治時代から何世代にも渡り愛されてきた富士見館は、どこかノスタルジックな表構えが印象的な湯治宿です。

外には湧き出した湯を祀る祠が!

宿泊以外にも朝7時~夜8時の時間内であれば日帰り温泉の利用も可能です。(大人500円/子供300円。17時〜18時は点検のため休止)筆者も今回は日帰りで気軽に立ち寄ってきました。

エントランスをくぐれば、元気がみなぎる女将さんから歓迎してもらえます。ふらりとただ訪問しただけなのに、こんなに喜んでもらえるなんて…と思わず嬉しくなってしまうほど。
「あらお客さん、ウチ初めて?」
頷くと、ニヤリと笑い続けて教えてくれました。
「ウチはね3つの浴槽が一番の自慢なんですよ。一つ目はぬる湯、源泉に近い温度だからだいたい32~34℃くらいかな。二つ目は中くらいで37℃〜38℃、三つ目が40℃~41℃。交互に浸かってたらあっという間に1日が経っちゃうのよ」
『お湯に浸かってたら1日が過ぎて行く』思わず胸がときめく言葉に、そわそわしながらお風呂場に向かいました。

ひんやりなのにポカポカ?! 至高のぬる湯とはこのことよ

そしていざ浴室へ向かいます。女将さんのお話通り、目の前には3つの浴槽と開放的な窓の外に美しい庭園が広がります。

体を流して、まずは最も温度の高い浴槽へ。じんわりとお湯が芯に染み入るように、ジワリジワリと熱が浸透してきます。体の下準備が整ったらお次は中くらいの温度、37℃~38℃の浴槽へ。
「ひゃっ……冷たい?」
つま先から伝わってくるのは、スッとした清涼感でした。ポカポカに暖められた体を体温に近い温度が、徐々に解きほぐしていきます。最初は冷たく感じていたお湯が体と一体化するとき、水中だということを忘れさせてくれるほどの無重力状態へ導いてくれます。
そして最後は大注目のぬる湯! こちらも最初は「冷たい?!」という印象。膝、大腿部、臀部……ゆっくりと体をやわらかいお湯に委ねていきましょう。するとなんということでしょう、体の表面はひんやり心地よいものの、芯は暖かいという摩訶不思議な状態になるのです。

ちなみに筆者が訪問した時、先客が一人いらっしゃったのですが、彼女は30分間微動だせずにぬる湯に浸かり続けていました。まさに長湯専用風呂! 夏こそ入りたい、とっておきの温泉に筆者もゆらゆらお湯の中を漂い続けてしまいました。

実は冬場もバッチリ? 新たな行きつけ湯治宿を確保

「どう? 気持ちよかったでしょ」
風呂から上がり、心地よい気だるさに包まれながら牛乳を飲んでいると、再度女将さんが笑顔で近づいてきます。その間も不思議なことに、体は冷えることなく内側からじわじわと温まり続けていました。

「実は、冬場にも最適なのよ」
そう教えてくれた女将さん。畑毛温泉のぬる湯はのぼせることなくずっと入り続けられるので、体を芯から温めるにはうってつけなのだとか。そのため最も温度が低い湯船も冬場にまた大活躍するそうなのです。
「ぜひ今度は湯治で来てね。何も考えずに、ぼーっとお湯に浸かってご飯を食べて、またお風呂に浸かって……。多くのお客さんたちはそんな時間を楽しみに来てるのよ」

熱海や湯河原、伊東など数多くの有名な温泉地を有する伊豆。豊富だからこそ、意外とマンネリ化してはいないでしょうか。そんなときこそ秘湯探しが一層輝きます。今年は畑毛温泉の「長湯専用風呂」ぬる湯で、酷暑に疲弊した体にご褒美はいかがでしょう。

この記事を書いたライター

大城実結


フリーランスライター・編集者。自転車や地域文化、一次産業、芸術を専門に執筆している。紙雑誌やWeb媒体問わず活動中。イラストや漫画も発表。月の半分は日本のどこかにおり、その土地の温泉や酒、食材に唸る日々が続く。

Webサイト:miyuo10qk.wixsite.com/miyuoshiro



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