花粉症とクルマ馬鹿。

2021.03.28

花粉症である。
 
花粉症なんてコロナウイルスと同じように、昔はそんな言葉さえなかったのに……と思っていたら、それは僕の認識不足だった。調べてみたら、コロナはともかく「花粉症」は1980年前後には、すでにわが国で(主に関東地方を中心に)社会問題として認知され始めていたらしい。
 関東地方がどうだったかは知らないが、少なくとも九州地方で青春真っ只中を謳歌していた80年代の僕が花粉症に悩まされた憶えはないし、その言葉を使い出したのはたぶん平成の時代になってからだと思う。だから自分の記憶としては、花粉症という言葉は昔はなかったことになる。
 
そんな話を友人としていると、同年代の彼は「熱中症という言葉だってなかっただろう。俺らが子どもの頃は日射病と言っていたはずだ」と言う。たしかに、日射病になるから帽子を被るように、と学校の先生から注意されていた気がする。
 だが、しかし…… 僕は、小学生の頃から「熱中症」という言葉は知っていた。
 「あんたは、熱中症だもんね」
 好きなモノや興味があるコトに出会うと、たとえば、それは天体観測だったり、プラモデル作りだったり、昆虫採集だったりするのだけど、時間が経つのも忘れて夢中になってしまう息子に対して、母が、よくそう言っていたから。

なんにでもすぐに熱中してしまう(そして冷めるのも早い)僕は、母の言ったとおり、幼い頃から、そして今も“熱中症”に違いない。
歳を重ねながら、カメラだったり、釣りだったり、ギターだったりとその対象は変わっても、いつも何かに熱中してきた。女の子に夢中だったのは、熱中症じゃなく恋の病ってやつで。
そして、熱しやすく冷めやすい僕が、唯一、若い頃からずっと熱中し続けているのがクルマである。“熱中症”の度が過ぎると、何と呼ばれるかご存じですか?
はい、クルマ馬鹿と呼ばれております。

また花粉が飛び交う季節がやって来た……と書いているだけで、鼻がムズムズしてくる。
今年は、マスクを付けているから花粉症なのだ、と周囲が理解してくれるわけじゃない。電車の中でクシャミを続けようものなら白い目で見られる。
だから、やっぱりクルマがいちばんいいやと、ますますクルマ馬鹿に拍車がかかる……。

新型コロナウイルス対策はもちろん大事だけど、花粉症と“熱中症”にも、ご用心、ご用心。

この記事を書いたライター

夢野忠則

自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト兼自動車ロマン文筆家。

現在の愛車は手に入れたばかりのジムニーシエラと、トライアンフ・ボンネビルT120、ベスパET3 125。

   

カテゴリ

横浜ゴム株式会社
あなたにおすすめの記事