トップメッセージ
過去最高の売上と利益を更新

代表取締役社長 山石 昌孝
主力のタイヤ事業が好調
2022年度の経済は、国内では輸出が緩やかに増加し、消費関連の景況感が大幅に改善しました。海外は米国で設備投資に底堅さが見られる一方、中国は景気悪化が継続しました。欧州は高インフレが持続しエネルギー価格の高止まりに長期化が見込まれます。こうした中、当期の売上収益は前期比28.3%増の8,605億円、事業利益は同12.8%増の701億円、営業利益は同17.7%減の689億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同29.9%減の459億円となり、売上収益と事業利益は過去最高となりました。主力のタイヤ事業における高付加価値商品や農業機械用などのオフハイウェイタイヤ(OHT)の拡販、またMIX改善や国内外での値上げの結果、北米などにおける販売が堅調に推移したほか為替円安も寄与しました。期末配当金は当初予定通り一株当たり33円とし、年間では一株当たり1円増配の66円としました。2023年度は売上、利益ともに2022年度を上回り過去最高を目指します。売上収益は前期比4.6%増の9,000億円、事業利益は同4.2%増の730億円、営業利益は同6.0%増の730億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同0.2%増の460億円を予定しています。配当金は中間配当を⼀株当たり33円、期末配当を34円とし、年間では3期連続の増配となる⼀株当たり67円を予定しています。
高付加価値品比率は42%に拡大
当社は2021年度から3カ年の中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでいます。タイヤ消費財では「高付加価値品比率最大化」を掲げ、「ADVAN」「GEOLANDAR」「ウィンタータイヤ」の構成比率を2019年度の40%から50%以上にすることを目標としています。そのため「ADVAN/GEOLANDARの新車装着の拡大」「補修市場でのリターン販売強化」「ウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充」「各地域に合致した販売施策」に取り組んでいます。2022年度も「ADVAN」「GEOLANDAR」が多くのプレミアムカーやEVに装着されました。また、補修市場では2022年度を「ヨコハマ夏の陣」と位置付け、「ADVAN」の2つの新商品を中心に拡販に努めました。モータースポーツではSUPERGT GT300クラスのチャンピオン奪還に加え、米国やアジアの著名なレースで「ADVAN」「GEOLANDAR」装着車が総合優勝を果たしました。こうした活動により、高付加価値品比率は42%となりました。
2023年度は「GEOLANDAR」の販売を強化
2023年度も引き続き「高付加価値品比率最大化」を掲げ、「泥試合」をテーマに「GEOLANDAR」の販売拡大に努め新商品の発売やサイズ拡大を行います。誕生45周年を迎える「ADVAN」でも販売拡大に向けてトヨタ自動車(株)「GRカローラ」への新車装着やEV向け商品の立ち上げなどに幅広く挑戦し、2023年度は高付加価値品比率を47%に高めます。
タイヤ生産財は需要拡大に迅速に対応
成長ドライバーであるOHT事業ではインド・ヴィシャカパトナム新工場を2022年8月から前倒しで稼働したほか、コスト優位性を活かした増販により継続的に成長することができました。トラック・バス用タイヤ事業では米国ミシシッピ工場の供給改善が進み生産量が過去最高となったほか、三重工場への増産投資を行いました。2023年度はインド新工場のフル稼働と第2期の増強を進め、三重工場ではさらに年間10万本を増産します。なお、Trelleborg Wheel Systems Holding ABの買収完了は、各国の競争法に基づく手続きを経た上で2023年度上期を予定しています。
MBは成長事業へのリソース集中が進む
MB(マルチプル・ビジネス)事業は強みであるホース配管事業と工業資材事業にリソースを集中し、安定収益を確保できる構造を確立します。2022年度はホース配管事業において米国・メキシコで自動車用ホース配管の生産体制再編を進めたほか、油圧用ホースの茨城工場の増産投資を決定しました。工業資材事業ではコンベヤベルトの国内シェアが約5割まで拡大しました。平塚製造所の生産能力増強も進めていきます。また、安定収益の確保を目的に航空部品事業を工業資材事業に統合しました。2023年度はホース配管事業では自動車用ホースのメキシコでの生産構成比率を31%まで引き上げるほか、油圧用ホースの中国工場の生産能力最大化に努めます。工業資材事業は引き続きコンベヤベルトのシェア最大化に注力し、新商品も発売する予定です。
サステナビリティ経営を加速
当社はサステナビリティ経営を事業を強化する実際的な事業戦略の一つとして捉えており、「環境」「社会」「ガバナンス」の観点から様々な活動を通じて持続的な企業価値向上に繋げています。2022年度は活動をさらに加速し、環境分野で新城南工場のカーボンニュートラルモデル工場化、サステナブル素材使用タイヤの研究開発、植樹を通じたネイチャーポジティブなどに取り組みました。また、人権方針の策定や人事制度の改革、政策保有株式の縮減やガバナンス・ダイバーシティなど社会課題への取り組みとガバナンス強化を推進しています。2023年度はこうした活動をさらにレベルアップさせるとともに、公平かつ透明性のある情報開示を積極的に行っていきま す。なお、当社は取締役会の監督機能の強化を目的に、3月30日より監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しました。
当社は今後も世界中のお客様から信頼される企業として成長してまいります。株主の皆様におかれましては、さらなるご支援を賜りますようお願い申し上げます。
2023年3月