タイヤデザイナーの独り言(ADVANカラー編)

タイヤをひとつ開発するにも、トレッドパターンによる性能の左右は今なお大きな要素を占めます。運動性能、快適性能、燃費や耐摩耗性能などなど。
そんなトレッドパターンをデザインする「デザイナー」は、タイヤ以外のデザインを担当することもあり、かの「ADVANカラー」もこの社内デザイナー集団から生まれました。
今回は、約40年前、ADVANカラーのデザインに携わったデザイナーから、独り言をお届けします。
2020.09.09

1979年、ADVANカラーの登場

1978年にADVAN商品第1号を発売し、翌年、モータースポーツの世界でもADVANブランドで参戦することが決まりました。それまではG.T.SPECIALを装着し、青・赤・白の配色でYOKOHAMAカラーとしてレースに参戦していましたが、「いやいや、カラーリングもADVANの赤と黒だ。」ということで1979年にADVANカラーは登場したのです。

一般的にデザインを考える時には、いろいろと考え方の違うアプローチで試作し、いくつかのアイデアの中から選ぶという過程がありますが、ADVANカラーはそれとは違い、「一発」でその原型は決まりました。「黒がメインの、赤はビビッドに挿し色。」これがレースにおけるADVANカラーの考え方でした。

最初こそは、ラインの入り方やマークの位置など、いくつかのバージョンが存在しましたが徐々に洗練され1980年代の頭には今現在のデザインにFIXしました。

 
 


ADVANカラーの意味

ADVANカラーの特徴である、赤と黒の意味するところは、情熱・気持ちの熱さをイメージする「赤」。強さ・確かさをイメージする「黒」です。また、私たちが取り扱っているタイヤの色も「黒」です。

サーキットにおいては様々なカラーのレーシングカーがひしめき合っている、カラーリングをするなら一目でADVANとわかる大胆な配色にしようと、以下のコンセプトでカラーリングを考えました。

  1. メリハリの利いた、わかりやすいデザインにする。
  2. 色は、ADVANのイメージカラーである「赤」と「黒」しか使わない。

このカラーコンセプトの下、車の前部を「黒」、後部を「赤」という2色配置に、その境目は、ADVANのシンボルである、赤の斜めラインで仕切るという大胆なカラーリングを思いつきました。

レースの世界なので、横浜ゴムはもちろん、ドライバー、監督、チームスタッフ、みんな勝つことへの情熱がみなぎっています。そんな熱い想いの関係者から、この「赤」と「黒」のADVANカラーはすぐに、高いテンションで受け入れられました。

ADVANカラーのへの想い

こうして生まれたADVANカラーは、途中で微妙な修正を加えながらも同じカラーリングとして40年以上も続いています。今では皆様から「赤黒のADVAN」と呼んでいただけるようになり、愛されることでこれほど励みになることはありません。

ここまで来れたのも、ADVANのモータースポーツ活動を支えて下さった関係者、及び、ファンの皆様のおかげだと思います。
今後もしかしたら、次の世代の新しいADVANカラーが出てくるかもしれません。ADVANは「前進する」という意味がベースなので、前に進む意味の変化はあるのかもしれません。

しかしどのように変わっていこうとも、いつの時代もADVANが推し進めるのは、「情熱」と「テクノロジー」の融合です。そのメッセージや表現の「核」の部分は、、、ええ、変わらないのではないかと思います。

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横浜ゴム株式会社
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