
筆者紹介:大城 実結(おおしろ みゆう)
自転車や電車、車でふらふらとしがちなフリーライター。最近、人生で初めての中古車を購入したものの、しばらくは運転が苦手で特訓を重ねていた。今は車なしでは考えられない性格に。twitter:@moshiroa1
あなたの恐怖心はどこから? まずは分析

運転への苦手意識は人によって異なるものです。運転を怖いと感じる理由には、
- そもそも免許を取ったばかり
- 久しぶりだから感覚を忘れてしまった
- 車の運転で怖い経験をしたことがある
- 自分自身がおっちょこちょいなので、信頼できない
など、さまざまなものがあります。まずは胸に抱いている恐怖心を、一つひとつ丁寧に紐解いてあげましょう。
筆者の場合だと、免許を取ってからしばらくペーパードライバーだったため、『運転の感覚を忘れてしまった』ことと『おっちょこちょいなので、自分への信頼がない』こと、『そもそも心配性』という3点が、運転への苦手意識の原因でした。
ポイントが分かったところで、それぞれの対策を練ってみました。
- 運転の感覚を忘れてしまった→運転の練習で感覚を取り戻す
- 自分への信頼感がない→信頼できるよう、小さな成功事例を積み重ねる
- そもそも心配性→どこが心配なのかを洗い出した上で、確実に確認できるよう方法を考える
みなさんも一度、紙に書き出して胸に秘めた恐怖心を解析してみてください。きっと次にやるべきことが見つかるはずです。
動画で知る危険なシチュエーション
もし「何が怖いのかピンとこない…」のなら、JAFのサイトで公開されている『「実写版」危険予知・事故回避トレーニング』をチェックしてみるのも手です。危険な場面を覚えることで、予測する能力のトレーニングになるともいわれています。
交差点や市街地など場所別に動画がまとめられているため、初心者はもちろん経験者も安全のために確認しておきたいですね。
運転の恐怖を克服しよう。筆者が実践した5つの方法
恐怖心の中身、そして対策を練った筆者。ただ単に練習するだけでは解決できない部分もありそうです。そこで、ベテランドライバーにアドバイスを聞いたり、動画を見たり、さまざまな対策をしてみました。その中で、特に効果的だと感じた5つの実践をご紹介します。
【その1】普段から道路を観察する癖をつける

運転のアドバイスとしてよく言われるのが「周りの流れを見て」ということ。しかし教習所では「流れ」という感覚的なものを教えてはくれません。どんな速度域で、どんなことが、どのように起こるのか……。経験を積んで予想ができれば、より安心して運転ができそうです。
まずは皆の言う”車の流れ”の感覚を掴むために、道路の観察をはじめました。
徒歩の場合
近所を歩くときも、車道の様子をいつも以上に観察する。
大通りでは、時間帯と交通量の関係性や信号の種類(右折専用信号機の有無)、交差点での車の流れ。細い道では一方通行か否か、すれ違う場合どこですれ違えば安全か。
自転車の場合
実際に車道を走り、路上駐車の多さや車線の減少・増加地点をチェック。近所のヒヤリハット地点(子どもが遊んでいる公園、通学路、視界の悪い交差点)を確認しておく。
同乗者として車に乗るとき
車線変更や合流のタイミング、周辺の車の挙動から次の動きを予想してみる。
日常生活に『車の流れを観察する癖』をプラスすることで、運転をしない時でも頭の中でシミュレーションができるようになります。心配性な性格の筆者は、このトレーニングのおかげで自分が心配になってしまう条件を知ることができ、意識的に予防をできるようになりました。
【その2】運転の練習で心がけたポイント4つ

車の流れを観察する癖が付いたら、実践練習をしてみましょう。練習をする際に、筆者が必ず気を付けていたことのポイントは4つです。
1. 経験者や運転が上手な人についてもらう
初期段階でのひとり運転はデンジャラスです。それなりに慣れるまでは、自分が信頼を置いている運転上手な友達や家族に同乗してもらいました。
同乗してもらった際には、感覚的に「こわいこわい」や「無理!」と叫ぶのは原則NG。何が怖かったのか、どう不安だったのかを、しっかり言葉にして伝えるのがポイントです。また同乗者に客観的な分析をしてもらうことで、自分だけでは見えなかった自身の得意・不得意を発見できます。
2. よく知っているエリアで
まずは自分の住む街で練習をしてみましょう。理想は普段から道路観察をしている道を走ること。【その1】の観察眼で得た情報を基に、実際に運転しながら答え合わせをする感覚です。
知っているエリアだからこそ、道に迷っても「近所だから帰れる」という安心感もありますし、「今日はあそこまで行けた」という小さな成功体験にもつながります。
3. 練習カーは死角が少なく、小回りの利く車がいいよ
最初は死角が少なく、小回りの利く車が安心でした。軽乗用車は細い路地でもすれ違いもしやすいですし、小型のミニバンであれば車高もあり運転席からの視界も良好です。初めは小さめの車で運転の感覚を掴んでいきましょう。
4. 運転をかならず楽しい思い出に!
そして一番大切なこと(だと考えている)がコレ。「運転=楽しい」という式を脳に刷り込むことです。そうでなければ何事も続けられませんもの。
筆者の場合は、道の駅まで行ってコーヒーを飲んだり、遠くのパン屋まで行ってお気に入りのパンを食べたり、運転に楽しいゴールを持たせるのがポイント。少し怖くても、ご褒美が待っていれば頑張れてしまうのが人間です。次第に運転に慣れていくと、楽しい記憶だけが残り、いつの間にか恐怖心が薄れていきました。
【その3】自分の苦手パターンを認識

運転の練習を重ねていくと、自分の苦手なパターン・得意なパターンを知ることができます。筆者の苦手パターンはこちら。
×右折信号がない交差点での右折のタイミング判断
教習所での適性検査でも「状況判断が遅いタイプ」と判断された筆者でしたが、まさにその通りの結果です。
特に右折信号がない交差点では、行ける行けないのタイミングが分からず焦ってしまうことも。そのため今後出先では、右折前にリラックスすること、しっかりと集中することを心がけるようにしています。
逆に、数回の実地を重ねて「意外と得意かもしれない」と気付いたのは、この2つ。
◎車線変更
◎合流のタイミング
以前まで苦手だった2つでしたが、周囲の車の流れや挙動を観察できるようになったため、安全に車線変更や合流ができるようになりました。
苦手と得意を明確にすることで、運転中も気をつけるポイントがより鮮明に分かります。「なんとなくこわい」から「ここが気をつけるべきところだ!」というポジティブな注意喚起に変換。そしてしっかりとセーフティードライブを重ねていくことで、少しずつ自分への不信感が減っていきます。
【その4】本気(マジ)の指さし確認

人前ではなかなかできませんが、筆者は運転前でも”本気”の指さし確認をしています。普段から家の戸締まりやコンロの火を消したかが不安になってしまう性格なので、日常生活に指さし確認を取り入れているのですが、実は車の運転でも指さしは超有効でした。
例えば、出発前の指さし確認や、休憩後の指さし確認。あえて声を出して(あくまでも小声ですが)、指を指すことで、不安をなぎ払うことができます。自分が小心者だという自覚がある方はぜひ実践してみてください。
【その5】週1回以上運転をするとベター

まさに継続は力なり。いくら運転の練習で感覚を身に付けても、続けなければ少しずつ忘れてしまいます。近所のスーパーやホームセンター、公園など、ちょっとのスキマを見つけて運転をする癖をつけると、どんどん車の運転が楽しくなっていきますよ。
運転が好きになると、こんなに楽しい!
友達とのお出かけで「私、運転しよっか」と気軽に言えるようになったり、大きい荷物を手軽に運べるようになったり。車を運転できるようになると、行動範囲はもちろん休みの過ごし方の幅もぐぐ〜っと広がります。
しかし一方で、車を運転する上で大切な恐怖心もあります。「自分は大丈夫」や「慣れてきたから平気」などの慢心が事故につながることも。プロドライバーも「臆病であることは必要」というほど、常に疑う心は持ち続けることも大切なのです。
車を運転する上で大切なのは正しく判断し、正しく恐れることです。苦手意識を克服して、楽しくセーフティードライブへ出かけてみませんか?
- バック駐車ができない! 精神的わかばマークを卒業するコツとは
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- 「脱・車の運転が怖い」のすすめ ~私はこうして苦手意識を克服した~
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