トップメッセージ

代表取締役社長 山石 昌孝

成長戦略を通じて、安定した企業経営、成長を果たすことが、人の、社会の、そして世界の幸せと豊かさに貢献するという信念に基づき、時代に合った価値創造と社会課題の解決に取り組みます。

従業員の安全を最優先にする仕組みを徹底的に強化

私が2017年に社長に就任して、まず、直面したのは工場における事故でした。フィリピンの工場で発生した火災を受け、二度と起こさないという決意のもと、安全優先の事業運営に取り組み、安全投資もしっかり実行してきました。今一度、安全リスクの見直しと、精神面の引き締め、意識改革が必要です。安全対策における評価を含めた仕組みから作り直すため、今回の新中期経営計画においても重要課題として取り組んでいます。従業員が安心して働ける職場作りに邁進するべく、決意を新たにしています。
また、2020年に発生した新型コロナウイルス感染症については、横浜ゴムグループでもインドや米国の工場などでは、工場の操業にも影響をもたらしました。職場でクラスターを発生させないよう、さまざまな施策を講じるとともに、2020年3月に日本政府の緊急事態宣言が発令される前に、社内に緊急事態宣言を出しました。従業員の安心・安全を第一に、工場を閉鎖しても給与は保障すると発信するなど、従業員を不安にさせず、業務に専心できる施策に取り組んできました。

次の100年を見据えた新たな価値創造に取り組む「YX2023」

2017年、私たちは創業100周年を迎え、以降3年ごとに中期計画を策定・遂行し、事業運営のグランドデザインを作ってきました。そして2020年に向けて計画を進めてきたのですが、今回のコロナ禍によってさまざまな施策を中断せざるを得なくなり、非常に残念な思いをしました。しかし、2021年2月に新中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」を策定し、新たな方向性を示すことができました。自動車業界において世界的な大変動が起きる中、特にCASE※1、MaaS※2の動向に対応したグローバル戦略と高付加価値品の比率を最大化する戦略によって、新たな成長ステージを目指しています。
この「YX2023」では、横浜ゴムの次の100年を見据えた新たな価値創造に取り組むことも重要なテーマとしており、お客さま価値にとどまらず、全てのステークホルダーの価値を生み出す仕組み作りに挑戦します。YXのYは、YOKOHAMAを表すのはもちろん、「YOU」という想いも込めており、従業員自身の意識改革により、トランスフォーメーションを追求していく考えです。

「未来への思いやり」を実現するESG経営

私たちは、CSRスローガン「未来への思いやり」の実現に向けて、ESG経営※3、SDGs※4の考え方を重視した経営に取り組んでいきます。

  • 業界団体との連携では、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)のTIP(タイヤ産業プロジェクト)にタイヤメーカー11社共同で参画し、SDGsのロードマップを定め、環境、人権、持続可能な調達などの課題に一緒に取り組んでいます。
  • 製品面では、軽量・低燃費で耐久性がよく安全な商品を、環境貢献商品としてお客さまに提供しています。また、中長期的な乗用車タイヤの技術開発ビジョンSensor Tire Technology Visionをはじめとした新規事業の探索も進めています。これは、センシング機能を搭載したSensor Tireからの情報をドライバーや外部のさまざまな事業者に提供し、クルマの安心・安全に貢献するものです。
  • 環境面では、カーボンニュートラルの実現に向けて、これまでも再生可能エネルギーの活用拡大を図ってきました。当社はお客さまの要求に沿った脱炭素製品を供給する責任を担うため、今年度末までに「2030年に当社が目指す姿と2050年までのロードマップ」の策定を進めます。サーキュラーエコノミーにおいては、再生可能/リサイクル原料の使用を2030年に30%以上と設定しています。なお、TCFD※5については、私たちも重要性を認識しており、提言に沿った開示を検討していきます。私自身は、大切なのは単なる目標を掲げるのではなく、事業の中にしっかり落とし込むために、何を目指すかを明確にすることが重要だと考えています。
  • 地域/人材では、今後私たちがグローバル化を加速させていく上で、それぞれの国、地域で最適な人材を登用するローカリゼーションが極めて重要になります。拠点地域のことをよく理解している現地の幹部を登用し、各地域本社としっかり連携できる仕組みを作り、現地主導による経営を実現しなければなりません。ここで目指すのは、ジェンダーだけでなく、グローバルなダイバーシティです。そして、もう一つ大切なことは進化です。日常の中で漫然と仕事をしていては、イノベーションは起こせません。その進化を促すためには、外部からの人材登用も重要で、今までとは異なる知見やノウハウを導入し、内部で積み重ねてきたものとの融合を進める必要があります。これはダイバーシティの推進によってこそ可能になると考えています。
  • ガバナンスとしては、会社は社会の公器であり、経営の透明性確保は何より重要です。現在、取締役会には社外取締役5名、監査役会に社外監査役3名と、全体では社外役員が過半数を占め、ガバナンス体制の強化は着実に進んでいます。社外取締役の選定においては、スキル、ジェンダー、グローバルなど多様性を重視しています。また、グローバルガバナンスにおいても、本社と子会社の連携のため、統括会社によるガバナンスの仕組みを作り、そこでしっかり各地域の人材を活用することを目指しています。今回のコーポレートガバナンス・コードの改定にも着実に対応していきますが、大事なことはきちんとしたロジックのもとに行動することです。私たちが成長するためにはESGにおいて、特にガバナンスやダイバーシティを進める中で、価値創造に向けて何をするかを今後も考え、行動していきたいと考えています。

ステークホルダーの皆さまへ

私たちは、「YX2023」を推進することで、時代に合った価値の創造に取り組みます。そのためには、タイヤ事業では利益の出るモデルをしっかりと作り上げ、その上でESG、SDGsの実現に取り組まなければなりません。どちらか片方ではなく、「攻め」と「守り」の両利きの経営こそが「創業守成」であり、YX2023で目指す深化と探索であると考えています。私は、将来の事業の方向性を見据え、現在の計画を着実に遂行し、ESG経営を通じて地域そして社会課題の解決に貢献することが当社の使命であると認識しています。私たち全員が、その考え方を仕事に落とし込み活動するとともに、組織知として蓄積することで、その結果としてESG経営を実現できると確信しています。来年は、ESG経営についてもより明確な方向性を公表したいと考えております。ステークホルダーの皆さまには、今後も私たちの活動をご理解いただき、ぜひ、今後の成長にご期待いただきたいと思います。

  • 1 CASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared&Services(カーシェアとサービス)、Electric(電動化)の頭文字をとった造語。
  • 2 MaaS:Mobility as a Serviceの略。さまざまな種類の移動サービスを1つに統合して利用者に提供する新しい概念。
  • 3 ESG:企業の長期的な成長を測るための、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字を取った指標。
  • 4 SDGs:Sustainable Development Goalsの略で国連が定めた2030年に達成を目指す持続可能な開発目標。
  • 5 TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)による気候関連のリスク、機会、財務影響などの情報開示の提言。