第三者意見

当意見は、本レポートの記載内容、同社の各担当者へのヒアリング、および現場視察に基づいて執筆しています。

アパショナータ.Inc.

代表&コンサルタント

パク・スックチャ氏(Joanna Sook JaPark)

アパショナータ:ワークライフバランスとダイバーシティを推進するために2000年に設立。無意識の偏見・ダイバーシティ(多様性)・テレワーク(在宅勤務)など、多くの企業の人材活用や意識改革を支援している。

コーポレートガバナンス

役員制度改革の一環として社外取締役の増員(割合)が年々進んでいることを評価。一方、取締役会の実効性評価などチェック機能についての発信を期待する。

コンプライアンス

海外拠点でも内部通報制度の整備に着手し、グローバルなガバナンス強化の推進を評価。その上で、確かな体制を構築するために、コンプライアンス責任者の教育やリスク評価のさらなる実行に期待する。
SDGsを通じた社会課題への貢献:農業・林業用タイヤの展開、雨天走行の安全性の追求、天然ゴムの持続的な調達など社会課題に関する取り組みを評価。その上で、企業の持続可能性への投資(ESG投資)において、横浜ゴムの長期ビジョン、例えば2030年度に目指す姿を提示し、その進捗を財務・非財務情報としてさまざまな媒体で報告していくことが望まれる。

働き方への取り組み

日本では従業員意識調査や全女性従業員のヒアリングを実施し、2018年度はその結果を基に強いニーズのあった「育児」「介護」「キャリア」に対してスピード感を持ちながらさまざまな施策を導入した。開催した教育研修は受講者満足度が90%以上と、質も確保できたことは評価できる。特に注目すべきは全従業員を対象とした介護に関する実態調査とヒアリングである。念入りに分析を行い、現状の課題を的確に見極めてセミナーを開催し介護への意識向上につながった。

多様な人材の活用

障がい者の雇用を促進するヨコハマピアサポートは、特定子会社として横浜ゴムグループの社会的責任を果たしながら、定期的な個別面談を通して、個人の特質に合った業務の提供と環境整備を行っている。今後は高齢化が進むことへの対応など、安心して気持ちよく働ける職場環境の保持を期待する。
油圧ホースの組み立てを行う長野工場では、再雇用者、契約社員、障がい者、外国人などさまざまな人たちが働いており、取扱製品が比較的軽いため、女性の比率が最も高い。パート社員のみで構成された工程もあり、業務の効率化も進んでいることを評価する。一方、女性や外国籍の多様な社員が責任ある仕事を担うことを期待したい。

社員のための活動

各拠点では、食事会や記念品授与など従業員同士のコミュニケーションと親睦を深めるイベントに加え、家族や子どもたちを大切にするファミリー・デイやチルドレンズ・デイ、社員旅行などが定期的に行われ、従業員の満足度や定着率の向上に寄与していることを評価。
また、2017年のフィリピン工場の火災を踏まえ、災害時の対応訓練や、コンプライアンス、環境・安全・品質の勉強会などを定期的に開催し、従業員の環境・安全や法令順守の意識啓発と教育を行っていることを評価。引き続き、防災体制や労働安全衛生・健康づくりの推進を期待する。

地域社会との共生

長野工場では、CSR活動として河川の清掃活動や里山保全を行い、消防団活動も盛んである。各生産拠点でも地域の植樹活動を通して環境保全や子どもたちの環境啓発に貢献し、さまざまな交通安全啓発活動にも取り組んでいる。ドライバーに安全ステッカーを配布するキャンペーン、子どもたちに交通ルールを教えるレッスンやゲームを行い、保護者にはタイヤ交換の必要性や定期点検の方法を学ぶ機会提供などがある。
今後も地域社会に貢献しながら、全従業員が安全に、安心して働くことができる職場づくりを期待する。

第三者意見を受けて

当社の現場や部門の取り組みを、つぶさに見ていただいたことに感謝申し上げます。ご評価いただいたことをしっかりと受け止め、改善につなげてまいります。
中期経営計画GD2020に沿って、事業活動を遅滞なく推進していくためには、当社グループの多様な人材が安心してその力を発揮できる場をつくることが最も重要です。そのため、安全・防災対応を含め、従業員が安全で健康に働ける職場環境づくりをさらに進めます。一方、従業員や家族、そして有識者の意見を伺うとともに、情報提供を小まめに行い、家庭の事情などで離職することのない「長く働き続けられる仕組み」をつくってまいります。CSRスローガン「未来への思いやり」の実現には、SDGsと当社事業との関わりの理解が欠かせません。SDGsは、「売り手・買い手・世間よし」の「三方よし」に加え、「未来よし」「地球よし」となる時代を目指しています。そのことを、従業員一人一人が当事者として理解し、環境貢献商品の提供、地域との共生などの取り組みをより強化します。その上で、当社が未来に目指す姿、その道筋についてさまざまな情報開示を行うことで、ステークホルダーの皆さまの信頼を得てまいります。そして、取引先さまや地域の方々などと手を携えて事業を遂行することによって、社会課題の解決に貢献してまいります。

執行役員 CSR本部長 近藤 成俊