男と女のクルマ選び

2018.07.02

悩む必要はない……。

もしもあなたが男で、しかも、すでにクルマ馬鹿であるなら、クルマ選びについてなど他人が口をはさむ余地はない。そもそも、あなたにとっての目先の問題はクルマ選びではないはずだ。あなたには欲しいクルマがすでにあって、それを手に入れるための「理由」を探している。

フツーの男がクルマを買おうとする場合には、最初に明確な目的や理由が存在する。そこには必然性がある。ところがクルマ馬鹿の場合は、まず初めに「そのクルマを手に入れたい」という欲望があって、それを叶えるための理由を後付けで一生懸命に探している。

どうしてもそのクルマを買わねばならない必然性など、もともとそこにはない。たいがいの場合、あるのは「後ろめたさ」と、それを覆い隠して正当化してくれる「理由」なのだ。クルマ選びより、理由選びに四苦八苦……。

僕が20年前に、ステーションワゴンを所有しているにもかかわらず、中古のホンダビートを衝動買いした時に選んだ理由は、「ひとりでしか活動しないのに大きなステーションワゴンを使うのは不経済な行為であって、仕事で都内を走り回るのに必要なのはミニマムなシティコミュニケーターだから」というものだった。

後ろめたさの大きさと、理由の長さは比例する。

もしもあなたが後ろめたくない男なら、クルマを手に入れるのに理由を探す必要などないだろう。今どきのクルマは、どれも性能はいいし燃費もいいし、快適で便利で当たり外れなどほぼないから、目的や家計や駐車スペースに合わせて好きなクルマを選べばいい。ただ、できれば女性にウケるクルマを選んでおいたほうが、なにかとコトはスムーズに運ぶ。目的や家計やスペースの決定権を握っているのは、多くの場合は女性であったりするわけだから。

女性にウケるクルマとは?

たとえば、メルセデスのGクラスや昔のミニのようなクルマは、ほとんどの女性にウケる。もっとマニアックなクルマからチョイスするなら、BMW2002、アルファロメオ・ジュリアスーパー…… クラシックレンジローバーなんてのも、ほぼ間違いなくウケる。

共通点がおわかりでしょうか?答えは、ボディが四角くて、ヘッドライトが丸いクルマ。女性は「四角くて丸いクルマ」がお好きなのである。これが長いクルマ馬鹿人生のなかで巡り合った数多くの(そんなに多くはないけど)女性の好みを分析し、たどり着いた結論であります。

四角四面じゃ、堅苦しい。丸いだけだと、つまんない。やっぱり、オトコは……じゃなくてクルマは、四角くて丸~いのにかぎる、と。ちなみに、女性に「ウケる」のと「モテる」のとは違うから、くれぐれも勘違いなさらぬよう。

もしもあなたが女なら、クルマ選びを男に相談してはいけない。男は、あなたに似合うクルマではなく、いろいろな理由を探してきては自分が欲しいクルマを選ぶに決まっているから。

グリーンのボディカラーがきれいだからとか、この赤いステッチが気に入ったからとか、女性はワンピースを選ぶみたいにクルマを選べばいいと思う。あなたのその直感は、男どもの屁理屈よりも、よほど間違いないだろう。

最後に、もうひとつ。できれば、女は男っぽいクルマを、男は女っぽいクルマを選んだほうがいい。たがいに足りないものを補って、そこに色気が漂うのだと思う。

ライター紹介

夢野忠則

自他ともに認めるクルマ馬鹿であり、「座右の銘は、夢のタダ乗り」と語る謎のエッセイスト。
クルマ雑誌「ナビカーズ」では自動車ロマン文筆家として人気コラム「クルマ馬鹿で結構!」やドライブエッセイを連載中。愛車は一万円で買った90年式のVWゴルフ2。ヴィンテージバイク(自転車)

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