トップメッセージ

創立100年の信頼を礎に次の100年も必要とされ続ける企業を目指して

代表取締役社長

山石 昌孝

激しい環境変化の中で迎えた創立100周年の節目

昨今、横浜ゴムを取り巻く経営環境は大きく変化しています。経済や政治、外交をめぐる不確実性が増す一方、自動車業界は自動運転技術やIoTの進展、電気自動車の普及などを背景に、数十年に一度の変革期に差し掛かっています。私は2017年3月に代表取締役社長に就任しましたが、こうした難しい局面において、グループ従業員数約25,000名の組織の舵取りを任される今、その重責に身の引き締まる思いです。
2017年度、創立100周年を迎えたこの節目の年を最終年度とする中期経営計画「GD100」がスタートを切ったのは2006年度のこと。タイヤを中心に当社製品の需要が世界で順調に拡大する中、成長の波に乗って、売上高1兆円、営業利益1,000億円という高い目標を掲げたのが当時でした。その後、リーマンショックや東日本大震災、欧州金融危機などの予想しない事態が相次ぎました。さらに、韓国や中国のタイヤメーカーの台頭により安価なタイヤが世界中にあふれ、需給バランスが崩れるなど、厳しい状況を経験しました。
環境変化は想定を超えて激しかったものの、グループ全社が同じ方向にベクトルを合わせるため、中長期的視野から高い目標を掲げた意義は大きかったと考えます。近年では、グローバルOE(新車装着)の順調な拡大や、チェルシーFCとのスポンサー契約を通し、世界的な知名度を高めることができました。また、生産財タイヤ事業の拡大として、2016年度にはAlliance Tire Group B.V.(ATG)と愛知タイヤ工業(株)の買収を果たし、不確実な時代の中でもグローバルでの安定成長に向けて、一定の道筋をつけることができました。

「横浜ゴムらしさ」を受け継ぎ、広い視野から社会的責任を果たす

お客さまと社会に必要とされる企業であり続けるため、100周年を迎えた今、次の100年をより真摯に考えていかなければなりません。現在は、そこに向けた土台づくりとして、2020年度を目標年度とする次の中期戦略の策定を進めている段階です。
変化を続ける自動車業界において、当社のタイヤが、日本や欧米、中国などの世界一流の自動車メーカーのお客さまに認められ、YOKOHAMAブランドがより広く採用されていくことが横浜ゴムの成長に欠かせません。特に、タイヤの環境性能の高さは当社の強みです。ころがり抵抗の低減とウェット性能の向上という本来相反する二つの性能を両立させる独自の技術力を用いて、「より高速に、より快適に」を追求するプレミアムカー市場でもさらなる存在感を発揮していきます。
環境問題への対応をはじめ、コンプライアンス、品質向上といったCSRについては、私たち企業が成長を続けていくため、日々当たり前に取り組まなければならないことです。CSRが不十分な企業は社会から信頼を得ることはなく、たった一度のCSR問題が100年続いた企業の致命傷にもなりかねません。
私たちの企業活動が与える影響は広範囲に広がっており、事業を展開する地域や調達先に与える影響にも配慮する必要があります。さらに、「今どうあるか」のみならず、現在の新入社員が定年を迎える数十年先までを意識し、強い基盤を築いていくことが求められます。
国連で2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」のような国際的な課題解決の動きも重視します。17の目標が掲げられたSDGsは、一つ一つが事業チャンスとなり得るものです。その重要性や当社の事業とのつながりの中で進むべき方向を示し、従業員一人一人に取り組みを促していくのが経営者の役割と考えます。
横浜ゴムは「人の良い、真面目な会社」と言われます。50万本の植樹を目指して2007年度から進めてきた「YOKOHAMA千年の杜プロジェクト」などは、まさにそのような当社らしさが表れた環境活動でしょう。自分たちで種から苗を育て、一本一本植えていく。こうしたことに地道に何年も何年も取り組み続ける企業は他になく、次の100年にも受け継いでいく、誇るべき企業文化だと思っています。

さらなる発展に向け、国内外の多様な人材開発に注力

変革期を力強く勝ち抜いていくためには、事業にも技術にもイノベーションが不可欠です。その最大の原動力となるのは、グループを支える多様な人材に他なりません。国内事業所では女性活躍をいっそう推進していきます。2017年度の新入社員は4割近くが女性となっており、優秀な女性従業員たちが能力を最大限に発揮して働けるような職場環境の整備は急務といえます。
また、さらなるグローバル展開のため、現地の人材を積極登用し、各国の拠点を任せられる経営者を育成していきます。世界の舞台では、画一的な日本企業のやり方は通用せず、現地の核となる人材に横浜ゴムの精神や守るべきポリシーを理解してもらった上で、それぞれの国と地域の文化や社会背景を踏まえた事業展開を任せていきます。将来的にはそうした人々に役員会のメンバーとしても手腕をふるってほしいと思います。
人材育成においては、その人の現状の能力より少し高い目標を設定し、どんどん仕事を任せていくのが有効と考えます。自分で決め、自分で取り組み、結果に対する責任を取り、評価を受ける。大変なことではありますが、若い従業員にこそ、そうした経験を積んでほしいのです。
100年の歴史の中、数多くの従業員たちによって培われてきた「横浜ゴムらしさ」を大切にし、さらに高め、全社一丸となって次の100年に向けた変化に対応すべく挑んでいきます。